2023/09/15企業情報
新規子会社設立および事業譲受に関するお知らせ
相模屋食料株式会社(本社:群馬県前橋市 代表取締役社長 鳥越淳司、以下 相模屋)は、民事再生手続き中であった株式会社丸福食品(本社:大阪府枚方市 代表取締役 福島久雄、以下 丸福食品)の再生計画に基づき、2023年9月1日に裁判所において再建案が認められたことを受け、同社を2023年9月15日に子会社化することになりました。新たに全額出資による子会社を設立し、当該子会社が丸福食品の豆腐製造事業を譲り受けることについて契約を締結いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。
1.事業譲受の背景
日本の伝統食品である豆腐の市場は成熟市場として長く停滞状況にあり、豆腐業界は厳しい事業環境の下、年々縮小傾向にあります。後継者不足や原材料費・物流費の高騰、ライフスタイルや食生活の変化による豆腐消費量の減少等を背景とした業界の縮小傾向に歯止めをかけ、再活性化を図ることが業界にとっての喫緊の課題となっております。
相模屋は豆腐製造業界のリーディングカンパニーとして、日本の伝統的な食文化である「豆腐文化」を守るため、これまで事業継続支援を中心とした業界再編に積極的に取り組んでおり、豆腐・大豆加工品食品事業継続への支援を展開してまいりました。相模屋の生産管理や製造技術等のノウハウを活用した事業基盤強化と新規ラインの導入などの設備投資により、早期での事業収益改善を実現しております。業界の活性化に加え、地場産業色の強い豆腐業界における豆腐製造事業継続を実現することで、地域における豆腐文化の維持や技術の継承、雇用の維持に注力しております。
2.事業譲受の内容
丸福食品は1969年に大阪府枚方市で創業された豆腐メーカーです。関西地区を中心に豆腐や絹厚揚げなど、昔ながらのベーシックな豆腐を製造し、地域の豆腐供給を担ってきました。特に絹厚揚げなど揚げ文化が根付いている関西地区のメーカーとして揚げ商品の製造にこだわり、今や少数となった昔ながらの絹厚揚げの製造を守り続け、供給を支えています。
しかし、原材料の高騰や販売単価の下落など厳しい市場環境から近年は厳しい経営状況が続いており、昨年からのエネルギーコスト高騰も重なって、2023年4月に民事再生法の申立を行っておりました。再建に向けて同社から相模屋へ再生支援の要請があり、関係者間で協議を重ねてまいりました。その結果、丸福食品が担ってきた地域における安定的な豆腐供給、ならびに豆腐文化を守ることを目的に、丸福食品の豆腐・大豆加工食品製造事業を譲り受け、相模屋グループの一員として再建を図ることで合意いたしました。日本の伝統的な木綿や絹、絹厚揚げといったベーシックな豆腐で関西エリアの豆腐文化を担い、昔ながらの絹厚揚げの文化を守り続けてきた丸福食品の豆腐製造事業継続は、特色ある豆腐文化の保護と継承に必須であると判断し、本支援を決定いたしました。丸福食品の再建支援を通して、日本の豆腐文化の保護・継承に全力を尽くしてまいります。
なお、従業員の雇用を維持し、社名の変更もありません。
3.事業譲受日
2023 年 9月15日
4.新会社(譲受会社)の概要
5.「新生丸福食品」の取り組み
丸福食品の再建にあたっては、これまでの同業支援と同様に対象会社の社名を残しながら、従業員の継続雇用を基本に新生丸福食品として再建に向けた取り組みをスタートします。相模屋本社ならびにグループ会社を含む近隣の拠点から製造・販売・管理等、事業のすべてにかかる部門において支援人材を派遣、再建に向けた事業改善を進めます。生産・販売・物流一貫での改善を行うなど、グループ会社化した企業の再建で培った支援手法を用いて、丸福食品が培ってきた豆腐製造のこだわりや技術を発揮できる環境をつくり、確実な再建を目指します。
丸福食品は、関西屈指の老舗豆腐メーカーであった但馬屋食品株式会社(2019年廃業 以下、但馬屋食品)と一時期出資関係にあり、但馬屋食品の卓越した豆腐づくりの技を学び、受け継いでいました。但馬屋食品を前身とする匠屋株式会社同様、丸福食品の再建を支援することで但馬屋食品の匠の技を次代へ繋げ、関西で育まれた豆腐製造技術・豆腐文化の継承に力を尽くしてまいります。
以上
<ご参考>
相模屋によるこれまでの事業継続支援の取り組み
相模屋は、2012年5月に株式会社デイリートップ東日本(神奈川県川崎市 以下、デイリートップ東日本)を株式取得により子会社化して以降、豆腐業界の再編に向けた取り組みを積極的に進めております。減少傾向が著しい豆腐業界(図1参照)において、地域における豆腐製造と雇用を維持し、地域に根付いた豆腐文化を守るために、事業継続の支援要請に応える形で取り組んできています。大手・中堅企業の子会社として豆腐製造事業を行う企業や、地域でこだわりの豆腐製造を行う小規模企業など、規模やエリアにこだわらず支援を行っています。2014年1月に株式会社秀水(栃木県塩谷郡)、2017年10月に石川サニーフーズ株式会社(石川県中能登郡)、2017年12月に日本ビーンズ株式会社(群馬県伊勢崎市)、2018年7月に匠屋株式会社(兵庫県伊丹市)、2019年7月に株式会社京都タンパク(京都府京都市)、2019年9月に株式会社丸山商店(福岡県小郡市)、2022年3月にはもぎ豆腐店株式会社(埼玉県本庄市)が相模屋グループとなり(注1)、事業を継続しています。
子会社化した企業については、大胆にビジネスモデルを転換する支援手法により、生産・販売・物流一貫での改善を行って早期での収益改善を実現し、いずれも黒字化を果たしております。2023年2月には新たに株式会社日の出(千葉県柏市 以下、日の出)とギトー食品株式会社(岐阜県関市)もグループ入りし、早期の黒字化に向けて再建の取り組みを開始いたしました。日の出は同年7月度に単月での黒字化を達成しております。
また、本取り組みは事業継続支援に留まらず、豆腐業界における同業者間の事業承継モデルを確立しております。譲受会社の社名や技術の継承、雇用の継続を前提にした経営改善・再建実績が新たな支援要請へとつながってきました。このような取り組みを通して、中小企業の重要課題である事業承継にも引き続き注力してまいります。
(注1) その他、2014年2月に群糧株式会社(大豆・副原料卸売業)を経営者の高齢化に伴う事業承継により子会社化しています。
(図1) 豆腐製造施設数推移
【本件に関するお問い合わせ先】
相模屋食料株式会社 広報部 片岡
電話:03-5213-4955